閉経期に対処する自然療法
女性の月経が終わる閉経期は、よろこびの時でしょうか、それとも悲しみの時でしょうか?西洋文化では、両方のようです。この時期を特徴づける様々な身体的、情緒的、性的、そして哲学的な変化から気持ちは混乱しやすくなります。でも、他文化においては崇敬され、かつ我々の文化でも少しずつ認められてきている機会や自由をも閉経期はもたらしてくれます。運動とストレス解消、正しい食生活、そしてハーブや栄養で不快症状を緩和することによって、この自然変化を乗り越え、人生に新しい実りのある見通しを持つことができます。
Physical Changes(身体的変化)
「Menopause Without Medicine(Hunter House)」の著者、リンダ・オジェダ博士(Linda Ojeda、PhD)は、閉経期に起きる多くの変化はホルモン・バランスの転換によるものと指摘しています。
「エストロゲンとプロゲステロン(黄体ホルモン)の女性ホルモンの減少とともに、多くの身体的変化が起きます。例えばのぼせ、月経不順、睡眠リズムの変化、疲労感、不安感、情緒不安定、そして性交時の痛みなどが症状として現れます。膣壁の弾力性が失われ、薄くなり、粘液が減ります。また、体重が増えることもあります。」
これらの身体的変化から、西洋女性は閉経期とは恐ろしいものだと教育されてきました。しかし、他文化では必ずしもそうではありません。「10年前にこのテーマを研究し始めた時、皆さんの対応は『話すことではないから』といった感じでした。非常にネガティブな印象でした。今では少し変� �りましたが、一般的に女性はこの時期をあまり待ち望んでいるわけではないようです。どうしてでしょう、自然なことなのに。健康的な姿勢でこの転換期に向かっていけばいいのです。人生の新しい段階であり、私たちは常に前向きに次の段階に臨むべきなのです。」
The Japanese Approach(日本的なアプローチ)
高齢者の女性が深く尊敬される日本では、閉経期の症状は少ないようです。伝えられるところによれば、日本には「hot flash(のぼせ)」のための専門用語がないそうです。
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アメリカ原住民の文化によっては、閉経期を迎えた女性は崇められます。「閉経期を迎えたアメリカ原住民女性は、血液を抑える賢い女性、crone(クローン)と呼ばれます。」ペンシルバニアにあるセント・ルークス病院の産婦人科医であり、「The Good News About Menopause」という月例セミナーを開くへリーン・B・レオネッティ氏(Helene B.Leonetti、MD)は説明します。「部族によっては戦いの時期を決定したり、酋長を選んだりとcroneが部族内問題に関わることもあります。」
レオネッティ氏は、排卵がなくなると体は女性ホルモンのプロゲステロンを生成しなくなり、幅広く行われているホルモン剤の処方は間違いであると語っています。「閉経期の専門家は、閉経期とはエストロゲンが欠乏する時期であると思わせようとしていますが、私は反対します。私は閉経期はエストロゲン過剰だと考えています。」
「プロゲステロンを生成しなくても、体内ではエストロゲン生成は続けられています。」彼女の説明では、エストロゲンの生成は閉経期前の半分に抑えられ、プロゲステロン生成は全くされなくなります。体内のエストロゲンは減少しますが、大事なことは二つのホルモンのバランスが大幅にエストロゲン優勢となることなのです。エストロゲンを調整するプロゲステロンがなくなる訳ですか� �。
「過剰なエストロゲンは乳房の細胞成長、むくみ、水太り、性欲の減少、そして重く苦しい腹痛の原因となります。」生活習慣は、閉経期の適応力に大きく影響します。レオネッティ氏によれば、運動と主として野菜中心の食生活は不快感の減少につながります。年取るにつれ、健康的なライフスタイルが重要になる理由です。
「フィトホルモン、大豆食品、野菜と果物、そしてフィトエストロゲン(植物に含まれるエストロゲンに類似した成分)を含む食品は有効であることがわかっています。プロゲステロン、そしてエストロゲンに類似した成分は数種の植物や食品に含まれており、エストロゲンの効果を体内で真似します。大豆はおそらくエストロゲン類似品の中で最も有効なものでしょう。また、black cohoshなどのハーブもあります。「black cohoshは、閉経期の症状が最小限となるように体内のエストロゲン量を上げます。」
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Controversial Homone(論争されるホルモン)
閉経期の女性が直面する最も一般的なジレンマは、ホルモン・リプレースメント療法(hormone replacement therapy(HRT))を受けるかどうかです。乳ガンのリスク増大に関係するといわれる合成エストロゲンは、心臓病や骨多孔症のリスクを減少します。
HRTを受けるべきでしょうか?「人の代わりに答えることはできませんが、私個人として、現在は閉経後ですがHRTを受けません。」オジェダ氏は打ち明けてくれました。「運動し、菜食中心の食生活を守り、ビタミンEを摂って閉経期のハーブと呼ばれるchasteberryも摂っています。さらに、閉経期女性のための、black cohosh(アメリカショウマ)とdong quaiの入ったビタミン剤も摂っています。」
ニュー・ジャージー州ランバートビル市にあるChrysalis Center(女性と子供対象にホリスティック・ケアを提供する施設)を運営するパット・カイコン氏(Pat Chichon)は、「HRTから得られる効果と同じものが、ハーブ、同種療法、栄養補助食品から得られるとする研究はありません。そう誤解されてはいけないと思い、あえて言います。」と語ります。
20年間ハーブ研究家として活躍し、看護婦資格も持ち、さらに家庭菜園を何年も続けたことのあるカイコン氏はさらに続けます。「私がハーブやサプリメントを使うのは、その方が体にとって栄養があり、そして閉経期とは体が通過する自然のプロセスであると考えるからです。健康的な方法で体を支えることが重要なコンセプトです。」
カイコン氏は、ハーブを総合的な補助と不快感の緩和のために勧めます。イタリアニンジンボク(chasteberry)はホルモンの再バランスに有効な強壮剤として利用し、dong quaiは閉経期に最も打撃を受ける箇所の補助に使います。「出血量の多い女性にはdong quaiは勧めません。なぜならdong quaiはさらにそれを増大させる可能性があるからです。dong quaiに含まれる苦い成分は流れを刺激するので、血液の流れも刺激されます。」
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イラクサの葉(鉄分とカルシウムを豊富に含む、栄養補助的な強壮剤として利用される緑色ハーブ)もカイコン氏の勧めるハーブです。また、膣の乾燥のために具体的にはマツヨイグサとワイルド・ヤム(wild yam)のクリーム、子宮を正常な状態に戻すためにブラックコホシュ(blackcohosh)を具体的に勧めています。「神経システムの強壮剤としてシバムギの茎(oatstraw)もいいでしょう。」
Stress Management(ストレスの管理)
張りつめた神経といらいらするストレスに対処するのは、閉経期を迎えた女性にとって難しいものです。レオネッティ氏は自ら「万能神のような」閉経期女性と呼ぶ対処法を専門にしています。
「運動を行い、かつ自然で栄養豊富な食事を準備することが自らの手に委ねられていると女性が気がついた時、閉経期の症状を最小限にとどめることができます。」と米食品医薬品局(FDA)の行う皮膚浸透性の天然プロゲステロン・クリームとその骨多孔症への影響に関する研究に参加しているレオネッティ氏は語ります。
「研究が始まって一年経ちましたが、研究対象女性の84%はのぼせ症状、また全体としてのクオリティー・オブ・ライフ(生活の質)が改善したように見受けられます。多くの女性は、体内の大きな変化が不安で、また 心臓病や骨多孔症のリスクがあると言われるのがいやでホルモンを摂るようになるのです。「でも実際には、エストロゲンを摂取する女性としない女性の骨折や心臓病の率に統計的な著しい差異はないことが明らかになりました。ほんのわずかなのです。」
レオネッティ氏はエストロゲンのレベルを最適化し、血圧を下げ、のぼせ、睡眠中の発汗、頭痛、そして動悸を緩和するためにブラックコホシュ(blach cohosh)を利用しています。
「ブラックコホシュは性交時の痛みの原因となる膣の萎縮も緩和します。「睡眠リズムを改善するためには、タツナミソウ、パッションフラワー、そしてバレリアン(カノコソウ)を利用しています。現在のエストロゲンに関する知識を元に私自身は、女性は子宮が有る無しに関わらず、「無条件で」エストロゲンを摂取するべきでないと思います。エステロゲンを摂るなら天然プロゲステロンも摂るべきだと、強く主張します。」
Refusing HRT(HRTを断る)
ニュージャージー州にあるセント・ピーターズ・メディカル・センター内、マインドボディー・インスティチュートで閉経期の女性対象にストレス減少コースの講師をしているジュディー・チェルベナック医師(Judi Chervenak、MD)によれば、現在ではHRTを断る女性が増えつつあります。アメリカ人女性の15%しかHRT治療を受けていないとしています。「多くの女性がHRTを断るのは、HRTが乳ガンや子宮がんのリスクを増やすと考えているからです。(彼女が講師を務める)コースの中では、様々なHRT治療の長所と短所について語り合います。また、ストレスを減らすためにヨガや運動をすることについても話します。」
数多くの身体的変化とともに、閉経期は女性にとって自らのこれまでの功績をふりかえり、これからの目標について考える時間も与えてくれます。「このコースでは、閉経期をよりよい人生への踏み台とすることが出来ると説明しています。自らの健康に関して主導権を握る女性は、その後の人生を最良にすることが出来るのです。」
Hormone Replacement Therapy(ホルモン・リプレースメント療法)
閉経後の女性にとって、HRTの主要な利点は心臓病リスクの減少でした。ところが、アメリカ医学協会ジャーナルの1998年8月19日号に掲載された研究は、すでに心臓病を患っている高齢女性にとって、HRTはさらにそれを悪化させる可能性があると指摘しています。この研究では、平均年齢66歳以上の心臓病女性2700人にHRTかプラセボ(偽薬)を与えました。結果、初年度だけでHRTを受けた女性は50%も心臓発作か深刻な問題をおこす可能性が高かったのです。
主任研究員のナネット・ウェンガー医師(Nanette Wenger、MD)によれば、「(中略)この研究は明確に(中略)すでに心臓病を抱えている女性にとって、エストロゲンやプロゲスティンは利点がないことを示しています。」
さらにHRTを受けた女性は、肺や脚に血液の固まりができたり、胆嚢の病気にかかる率が高かったのです。研究は4年間でしたので、骨折や乳ガンへの影響について研究するには時間が足りなかったとしています。
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