2012年4月25日水曜日

“水道水の塩素対策を極める”


  
 ご存知の通り、水道水には塩素が含まれています。水の中の、病原となりうる微生物を殺すためです。人間には何とも無い濃度ですが、魚は死にます。大切に、慎重に維持している水草水槽も、一発でダメになってしまいます。したがって、この塩素の対策は、アクアリストにとって非常に重要な問題です。
 そこで今回は、この、「塩素の対策」について考えてみたいと思います。
 

1. まず、水道水に含まれている「敵」を知る

 まずは、「敵」を知ることから始めましょう。
 毒ガスである塩素は、浄水場で添加されています。そして、どのくらいの量が添加されるかは、法で定められています。では、どのように定められているのでしょうか。夏場、何度も痛い目に遭っている私は、以前、図書館へ行って調べてきました。( 自分で「エライ!」と言っておきます )

 調べたところ、国会の定めた「水道法(法律)」には具体的な規定はなく、委任を受けて厚生省が定めている「水道法施行規則(省令)」の中に、塩素の量を定めた規定がありました。

水道法施行規則(厚生省令) ※は私の注釈

第17条 (衛生上必要な措置)
 法第22条の規定により水道事業者が講じなければならない衛生上必要な措置は、次の各号に掲げるものとする。
(1号 省略)
(2号 省略)
3号 給水栓における水が、遊離残留塩素を0.1mg/リットル(結合残留塩素の場合は、0.4mg/リットル)以上保持するように塩素消毒をすること。ただし、供給する水が病原生物に著しく汚染されるおそれがある場合又は病原生物に汚染されたことを疑わせるような生物もしくは物質を多量に含むおそれがある場合の給水栓における水の遊離残留塩素は、0.2mg/リットル(結合残留塩素の場合は、1.5mg/リットル)以上とする。

※1 給水栓=玄関の脇などにある、水道メーターのついているところ。各戸への水道の入り口。
※2 遊離残留塩素=水道水中に残っている、次亜塩素酸イオン(ClO-)
※3 結合残留塩素=水道水中に残っている、クロラミン(NHCl2やNH2Clなど)

 このように定められています。
 ただし、実際の現場では、加えて浄水処理に使う器材の材質、そこからの物質の溶出量、検査方法など、様々な基準が具体的に細かく定められていて、このような大雑把な規則だけに依っているわけではありません。念の為。

 さて、上の厚生省令のポイントとしては、2つあります。1つは、塩素消毒の量は下限値を定めてあるだけだ、という点です。もう1つは、病原生物に汚染されている「おそれ」さえあれば、2倍以上増量される、という点です。

 では、浄水場では、実際のところ、どのくらいの量が添加されているのでしょうか。
 答えは、その地方ごとに異なるようです。私の住んでいるところでは、通常は浄水場で1mg/リットルを添加している、ということでした。
 添加点から最も離れた家の給水栓で、0.1mg/リットルを確保しなければならないことを考えれば、このくらいの量が妥当なところなのでしょうか。逆に、添加点の隣に位置している家の場合は、省令の下限値の10倍近い量が含まれている可能性が高い、ということでもあります。
 また、塩素の添加は、浄水場だけでなく複数の地点で行われていることがあるので、浄水場のそばでないところでも、塩素濃度の高いところがあります。
 ちなみに、調べてみたところ大阪周辺の地域では� ��だいたい平均0.7mg/リットルが残留しているという地域が多いようです。
 

2. 敵を知ったら、今度は対策を考える・・・対策の種類

 水槽の中の生物を殺してしまう「残留塩素」をやっつけるには、大きく分けると2つの方向があります。
 1つは、塩素を取り除く方向です。そして、もう1つは、塩素を中和で無害化してしまう方向です。

<取り除く>(1)純水製造器
(2)浄水器浄水フィルター
(3)活性炭
(4)沸騰
(5)エアレーション
(6)浅い容器で日向にさらして
<中和させる>(1)ハイポ
(2)市販の中和剤

 では、それぞれを検討してみましょう。

<取り除く>

(1)純水製造器で取り除く方法


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 純水製造器は、各社から色々な製品が売られていますが、概してコストが高くつきます。しかし、一度セットしてしまえば、蛇口をひねるだけですぐに使える水が手に入るので、手間と時間が省けるのがメリットです。
 ただ、水槽内の大部分の水を入れ換えるような場合、純水をそんなに大量に入れると生体にダメージを与えることになるために、普通の水で薄めることになります。この場合は、その薄めるために入れる水の塩素をまたどのように抜くかという問題があります。

(2)浄水器浄水フィルターで取り除く方法

 様々な製品がありますが、活性炭と中空糸膜フィルターの両方がついていれば、蛇口に取り付ける簡易型(トレビーノスーパーSとか、クリンスイデミとか)でも、ほとんどの塩素を除去できます。
 国民生活センターでのテスト結果によれば、「ハイパワー クリンスイデミ」では、最初から36時間経過した時点まで、いずれの時点でも95パーセント以上の塩素を除去ができていたそうです。
 うちで、炊事用に使っている東レの「トレビーノ」でも、簡易検出方法では検出できないぐらい、直期間にわたってよく除去できています。

 したがって、この簡易浄水フィルターを通した後に、ごく少量の中和剤を添加するような方法を採れば、「中和剤で発生する不必要な無機イオンも最低限ですみ、温度の再合わせも� ��要無く、酸素・二酸化炭素などのガスも抜けていない、安全な水」が得られるので、お勧めです。
 この簡易浄水フィルターは、実勢価格で1500円ぐらいからあります。

(3)活性炭で取り除く方法

 活性炭の他に、ゼオライトなどを使う場合もあります。
 この方法の場合、少量の中を1度通しただけでは、あまり除去されません。したがって、蛇口につけるタイプの簡易浄水フィルターで活性炭しか入っていないものを、飼育水を作るために使うのは危険です。
 また、活性炭の塩素の除去については、比較的寿命が短いので、まめに検査が必要です。

 実際に活性炭で除去するためには、フィルターの濾材スペース部分にたっぷりの活性炭を入れ、溜め水水槽に溜めた水を、このフィルターによって循環させ、塩素が完全に除去できたことを確認してから使います。溜め水水槽にはサーモとヒーターをセットしておけば、温度を一定に保てます。
 この方法は、中和剤のような水槽内に不要なものを持� �込まずに済む点がメリットです。

(4)沸騰させて取り除く方法

 使う水を沸かし、蒸発し易い塩素の性質を利用して、これを除去する方法です。沸騰してからも4分以上加熱し続けると、トリハロメタンも大部分が蒸発してしまうので、より安全な水を得ることができます。
 ただし、60センチ水槽で1/3の水換えを行う場合でも、水は20リットル弱は必要なわけで、そんなにたくさんの水を沸かすのは一般家庭では難しいはずです。また、沸騰したあと、適温まで冷やした水は、含まれている酸素の量が少ないため、水換え水量にもよりますが、水槽に入れると酸欠に弱い魚が死ぬことがあります。したがって、たくさん水換えする場合は、使う前に保温しながらエアレーションで酸素を含ませてやる必要があります。

(5)エアレーションで取り除く方法

 溜め水水槽などの中で予めエアレーションで水を回すことで、塩素を揮発させてしまう方法です。

 バケツでやるなら、1日回しておけば、ほぼ全部の塩素が抜けますが、抜けきれていないときもあるので注意が必要です。タライなど、口の大きい器に浅く入れると、より抜けやすくなります。
 お金のかからない方法ですが、夏場は、せっかく温度の高くない水なのにエアレーションで水温が上がるし、冬場はエアレーションで水温が下がるので、使う前に加温しなければならない、という難点があります。

(6)浅い容器で日向にさらして取り除く方法

 タライなどの浅い容器に入れて、日向で2、3日さらしておいても、塩素が抜けます。ただし、時節によっては浄水場での塩素の添加量が多くて、2、3日では抜けないことも多いです。ときどき水をかき混ぜると、より抜け易くなります。

 一番手軽でお金のかからない方法ですが、これもエアレーションによる場合と同じく、使う直前に温度を調整しないといけない、という欠点があります。また、深い容器だと、あまり抜けません。

 

<中和させる>

(7)ハイポで中和させる方法


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 ハイポ(=チオ硫酸ナトリウム)で塩素を中和させてしまう方法(正確には中和還元)で、もっとも安くできます。
 この方法だと、水中に溶け込んでいるO2やCO2が逃げてしまうこともなく、また、温度の上昇・低下の心配もありません。また、常識の範囲内の使用量であれば、少々の入れ過ぎを気にする必要もないと思います。
 ただし、結果、NaCl、HCl、SO4-- が発生するので、水槽内の無機イオン濃度を上げたくないときには注意が必要かもしれません。
 予め溶かしておいたものを使えば、即座に中和が完了します。待つ必要はありません。
 

(8)市販の中和剤で中和させる方法

 もっともポピュラーな商品としては、テトラ社の「コントラ コロライン」が挙げられますが、他社からも色々でています。
 「コントラ コロライン」は、比較的多目の使用量が規定されているので、塩素がたくさん添加される時節でも、ほとんどの場合、規定量を入れれば足り、安心です。水に混ぜれば瞬時に中和が完了します。効果はハイポと変わりありません。

3. 対策についての留意点

(1)魚だけが無事な塩素量で良いわけがない

 水道水に入っている塩素で魚が死んでしまうのに、人間が飲んでも大丈夫な理由は簡単です。人間のからだが大きいからです。
 では、魚が大丈夫なレベルまで塩素の量を減らせば、水草水槽に使えるでしょうか?
 これも答えは簡単、「NO」です。
 魚の体よりも、はるかに小さい微生物は、魚が大丈夫な塩素の量でも、簡単に死んでしまいます

塩素量 ・・・人間にも影響のあるレベル
 
・・・にも影響のあるレベル
塩素量 ・・・微生物に影響のあるレベル

このことは水草水槽を維持する上で、非常に重要です。すなわち、「魚に影響ないレベルの量でも、微生物には影響がでる」ということです。

 「なぜこんな分かりきったことを、改めて確認するのか?」と思われるかもしれません。しかし、こんな簡単で分かりきったことにもかかわらず、これが結構軽視されている現状があるからなのです。

 たとえば、昔から、「カルキを抜くには、バケツに一晩汲み置きます」とか、「ひなたで1日さらしておけば使えるようになります」と書いている本があります。そして、未だにその記述をそのまま引用している記述が散見されます。
 確かに、このような方法でもある程度は塩素が抜けます。塩素の量が法定値の下限ギリギリなら、魚が死ぬことはほとんどないはずです。
 しかし、魚やエビが無事だったとしても、このような塩素が完全に抜けきっていない水では、魚のような大きな生き物が死ななくても、「体の小さい微生物はたくさん死んでいる」のです。昔は水槽内の微生物の存在などほとんど無視した飼育方法だったために、魚さえ死ななければ、それで問題なし、とされていたのです。

 したがって、濾過細菌をはじめ、さまざまな微生物の協働によって水槽内の生態系が形作られていることが明らかになっている現在、このような昔の方法に従う理由はないと言えます。
 このような、「魚さえ死なない水ならば大丈夫」というような維持方法をしていると、「二酸化炭素の強制添加をしないでも大丈夫な水槽」や、「窒素酸化物の濃度が上がらない水槽」などといった、微生物の活動が重要な役割を担う水草水槽の実現は難しくなります。

 同様の例は他にもあります。たとえば、換水について「水槽の1/3程度なら蛇口からそのまま入れても大丈夫」とか、「塩素の添加量の少ない地方なら、そのまま入れても大丈夫」という記述です。
 このような場合、確かに魚には影響のない場合がほとんどです。しかし、魚に大丈夫なレベルの塩素量でも、微生物が無事というわけではありません。人間に影響のないレベルの塩素が、魚には致命的であるのと、同じことです。このような乱暴な方法で換水すると、多くの微生物が死んでいることが多いです。魚は元気で、微生物は目に見えないので、気付いていないだけです。また、多くの微生物が死んでも、生き残ったものが急速に回復してくるので気付きにくい、ということもあります。
 微生物がダメージを受けてい るのを確認するのは簡単なので、みなさんも一度実験してみてください。


<方法>
・こなれた水槽の底床をプロホースなどで掃除して濁った水をバケツに溜めます。
・これを15分ほど放置するとバケツの底に濁りが沈殿します。
・そこで、上澄みを少しずつそーっと捨てます。
・そうすると、バケツの底にミジンコなどの微生物がたくさん泳ぎまわっている水が残るので、これを2つのコップに分けて入れます。
・そして、片方には中和剤を使って完全に塩素を処理した水を、もう一方にはその水の5割にあたる水道水をそのまま入れます(これでこちらのコップは1/3換水と同じ量の水道水を入れたことになりますね)。
・しばらく観察してみてください。すると、後者のコップでは、それまで元気に泳ぎ回っていたミジンコが、沈んで動かなくなるはずです。
※沈殿物の中にミ� �ンコがいない水槽は問題外です。
※塩素の添加量が少ない優良な水道水ではミジンコも元気です。そのような水が手に入る環境に感謝しましょう!

 ただ、このような実験をわざわざやらなくても、微生物に影響がでることは容易に想像できると思います。そんな簡単に、微生物に影響がでなくなるレベルになってしまうような塩素の量だとすると、その水は、そもそもちゃんと殺菌できているのかどうか疑わしい水道水、ということになってしまいます。水道管の中の微生物だけが死に、水槽の中の微生物は大丈夫、なんてことはあり得ません。

(2)ハイポの必要量は計算通りにはならない

 「コントラ コロライン」など、市販の中和剤の価格はやけに高いので昔ながらのハイポ(チオ硫酸ナトリウム)を使っている人も多いことかと思います。私も、よく使います。500円もあれば1キロ買えてしまいます。60センチ水槽を1本しかもっていないとすると、それだけで300年分もの中和剤が手に入ったことになります。少し割高だけれど、少量入りのもの(100グラム190円、25グラム50円ぐらい)も、ショップで売られています。

<1キロのハイポがどれだけもつか、について>

 例えば、下述の500ミリリットルの中和液(73粒液)=「コントラコロライン」とだいたい同じ使い勝手のもの、を作るとするとします。

 仮に、60センチ水槽1本を、1週間に1回、1/3=20リットルの換水で維持している人の場合、1回の換水で使う「73粒液」の量は4ミリリットルです。すなわち、500ミリリットルの「73粒液」を1本作れば、125回の換水ができます。

 この500ミリリットルの「73粒液」を1本作るのに、ハイポは約7.29グラム(1粒=約0.1グラム)しか使わないので、1キロ入り=1,000グラム入りの袋を1つ買うと、約137本の「73粒液(500ミリリットル入り)」ができます。上で計算した通り、1本で125回の換水ができるので、1キロのハイポで17,125回分の換水ができることになります。週1=年に52回の換水ペースだから、52で割ると、約329年分となります。 すなわち、1キロ入りハイポを買うと、なんと、329年もつことになります!! 
 仮に、60センチ水槽を3本もっている人だとしても、3で割って、109年分です! (@_@)

 ポイント; 子や孫に宛てた遺言の財産目録には、忘れずに「ハイポ」も書いておくこと。

 

写真の現像用に売られている1キロのものの袋(左)。現像もやっているカメラ専門店に行けば500円までで手に入る。湿気ると粒同士がくっつくので、密閉できる容器に入れて保存する。右のビンは100円ショップで買ったもの。

 このハイポを、予め500ミリリットルの水道水に、73粒(約7.29グラム)溶かしておけば、10リットルの水道水に2ミリリットル添加で中和させられます。「コントラ コロライン」と同じ使い勝手です。


 さて、このハイポの添加量ですが、この「73粒」は、実際に「コントラ コロライン」で水道水を中和させながら、比較して求めた量です。素人実験であることと、商品ごとのばらつきがあることを考えれば、まったく同じ量というわけではないと思いますが、同じ使い勝手、ということを考えれば、このぐらいが適当だと思います。
 ところが、この「73粒」という量は、計算上必要とされる量よりも、相当多いです。浄水場が添加している塩素の量が、既述のように1mg/リットル前後だとすると、中和に必要とされるチオ硫酸ナトリウムは、計算上、水道水10リットルに対して10mg(0.1粒)弱となり、500ミリリットルの中和剤を作るのには25粒溶かせば足りることになります。
 しかし、実際に使ってみ� �と、これでは完全には中和されません。なぜなのか、理由はわかりません。うちの場合、オルトトリジンで簡易検査してみると、黄色く呈色する時期があります。
 ただし、逆に「コントラ コロライン」や、「73粒液」を使っていると、わずか0.5ミリリットル添加しただけで全部中和してしまう時期があります。この場合、規定の2ミリリットルを入れると、実際に必要な量の4倍も入れてしまっていることになりますが、毎回毎回、水換えのたびに残留塩素のテストをするわずらわしさと生体の安全を考えれば、そのくらい安全シロをみて、多目に入れた方が良いと思います。昔から言われている「10リットルに1粒(約0.1グラム)」は、計算上の必要量の11倍ほどになりますが、実際は、それなりに適当な量と言� ��るでしょう。

 とにかく、大切なことは、計算通りにうまくいかないことが多い水草水槽ではハイポの量も計算通りにいかないことがある、ということを知っておくことです。

 ちなみに、残留塩素を確認するためのオルトトリジン液は、ホームセンターの浄水器売り場にたまにおいてあります。また、夏休みの頃になると、子供の自由研究用として、東急ハンズや百貨店などに置かれていることもあります(東急ハンズにはいつでも置いてあるはずです)。

追記; 読み返してみて、ハイポ液を勧めているように読めることに気付いたので、書き足します。

 自作のハイポ液だけに限らず言えることですが、自作する前に、次のようなデメリットにも留意しておく必要があります。

1.自作品にはノウハウの蓄積がない

 「コントラ コロライン」のようなメーカー品に、もし欠陥が合った場合、その商品を売った販売店が第1に責任を負います。「メーカーに言ってくれ」なんて言い訳は通用しません。また、加えてメーカーも第2に責任を負います。ご存知、製造物責任です。したがって、メーカーは、過去のクレームや失敗を製造に反映させ、この責任を追及されないように努力を重ねています。特に、重い責任を負わされる欧米のメーカーは慎重です。
 この点、自作品にはもちろん何の保証もなく、すべて自己責任となります。ここで紹介した自作のハイポ液にしても、20年後、30年後に、同じ品質を保っているか、過去のデータはありません。過去に失敗があったとしても、ほとんど反映されていません。使用方法についても、� �か問題が起こっても、どこにも文句を言うことができないのです。

2.自作だから安くつく、とは限らない

 上で紹介した1キロ入りのチオ硫酸ナトリウムは、どこにでもあるものではありません。近所のショップや小さなカメラ店では無い場合の方が多いでしょう。これを手に入れるために遠出するとなると、時間と手間がかかることになります。社会人なら、給料から時給を計算してみると、2千円や3千円を超える人もザラのはずです。すると、その貴重な1時間使い、車のガソリン代も使い、交通事故や交通違反の危険も犯し、さらにハイポ液を作るのにも時間を使い、ハイポを保存するビンを用意する手間もかかり、作成ミスで魚を死なせる危険性も背負うわけです。果たして、それでも、自分で作るのが安くつくのかどうか、今一度検討する必要があります。
 また、維持している水槽が小さいもの1本だけ、というであ� �ば、市販品を買う方が安くつくはずです。

結論; 原則、「コントラ コロライン」などの市販品を使うのがお勧め。
     時間と手間と、若干の安全性の犠牲を払うのを厭わないのなら、ハイポ液。

(3)塩素中和には、塩素中和専用のものを使う


 カリ分補給用として有名なADA社の「ブライティーK」は、カタログなどには「水道水に含まれる塩素を確実に中和します」とありますが、少なくとも私のうちでは、中和し切れません。
 カリ分補給用としてはともかく、塩素中和用に用いるのはお勧めしません。うちではこれでCRSを死なせてしまいました。みなさんは同じ轍を踏まないよう、気をつけて下さい。
 私の使用方法が悪いのかと思い、問い合わせてみましたが、地域差があるのでパックチェッカーでチェックする必要があるそうです。また、専用の「クロルオフ」を使うように言われました。
 塩素の中和ミスは、自分の可愛がっている大切な魚やエビを、一瞬で失いますので、絶対に油断してはいけません。「ブライティーK」はカリ分補給に使い、塩素 中和には必ず塩素中和専用のものを使うことをお勧めします。



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